
5月1日に私どもが犯してしまった、取り返しのつかない大失態以来、少しでも、水俣病に関する様々な事柄に触れようと心掛けているつもりです。
今回手にした、是枝裕和氏の「雲は答えなかった」もそのうちの1つです。
ただ、この本が、それ以外に触れる様々な事柄と一線を画しているものがあります。
それは、この本の主人公が被害者側ではなく、環境庁の官僚であり、そして、おそらく水俣病という課題が引き金となって自死に至った…その半生を綴ったという点にあります。
答えは読者に問い掛ける内容となっており、現在当事者である自分にとって実に重く深い一冊でありました。
でも、このタイミングで読んで良かったと思います。
ちなみに…
先日、新潟市内で新潟水俣病の被害者の皆様方との懇談の場を終えた後のぶら下がりで、記者から「新潟水俣病の発生源となった場所には行くつもりはあるのか?」と投げ掛けられ、「どのような形になるかはともかく、必ず訪れる」と答えていたのですが、その約束をこの週末に果たしてまいりました。
鹿瀬にとっての旧昭和電工の存在を含め、様々な思いが胸中を交錯しました。
ただ1人で佇むことができて、かえって良かったかもしれません。
雲はただひたすら低く覆い尽くしていたのが印象的でありましたが…