先週、衆議院、参議院ともに環境委員会が開かれ、今臨時国会での所謂店開きが行われました。
私も政務官再任の挨拶をさせていただきましたが、伊藤環境大臣兼内閣府特命担当大臣(原子力防災担当)からの所信表明が為されましたので、私の担務部分を抜粋したいと思います。
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(前略)
まず、東日本大震災、原発事故からの復興再生の推進について申し上げます。
私は、これまでも東日本大震災復興特別委員長等の立場で被災地を何度も訪問してまいりました。そして、環境大臣に就任後、最優先で福島県及び各町村を訪問し、内堀知事や各町村長の皆様と面会しました。福島県の現状や復興に向けた課題を直接お伺いし、環境大臣として、福島の復興再生に全力で取り組んでいく決意を新たにしました。
本年は、富岡町、浪江町、飯舘村の特定復興再生拠点区域において避難指示が解除され、福島の復興に向けてまた一歩前進した年となりました。環境省として、ふるさとに戻りたいという御意向のある住民の方々の帰還に向けて、さきの国会で成立した改正福島特措法に基づき、特定帰還居住区域における除染や家屋等の解体を着実に実施してまいります。
また、国として約束かつ責務である福島県内除去土壌等の県外最終処分についても、技術的な検討や全国での理解醸成等の取組を着実に進めてまいります。
さらに、住民の不安解消や風評払拭を図るため、放射線健康管理やALPS処理水に係る海域環境モニタリング等を実施するとともに、福島の産業、町、暮らしの創生に向けた福島再生・未来志向プロジェクトにより、脱炭素を基軸とした事業創出等を推進してまいります。
(中略)
サーキュラーエコノミーへの移行に向けた取組について申し上げます。
資源循環と成長の好循環を目指す循環経済、いわゆるサーキュラーエコノミーへの移行は、資源の採掘から加工、廃棄に至るライフスタイル全体の脱炭素化にもつながるものであり、ネットゼロの実現においても要となるとともに、産業競争力の強化や経済安全保障にも資するものです。現在検討を進めている次期循環型社会形成推進基本計画においては、地方創生の観点も踏まえ、サーキュラーエコノミー政策を中長期的に重要な柱として位置づけてまいります。
また、製造業などの動脈産業と廃棄物処理業などの静脈産業の連携による資源循環市場の創出を支援する制度を検討してまいります。さらに、プラスチックや金属の資源循環の推進等により、サーキュラーエコノミー関連ビジネスの市場規模を、現在の約五十兆円から二〇三〇年までに八十兆円以上に拡大することを目指します。加えて、新たな国民運動、デコ活とも連携しながら、食品ロス削減やサステーナブルファッションの推進、紙おむつの再生利用等の普及を促進するとともに、太陽光パネルの廃棄増加に備えた対応の検討を進めます。あわせて、持続可能で強靱な廃棄物処理体制を構築すべく、災害廃棄物対策の体制整備、一般廃棄物処理施設や浄化槽の整備等を進めてまいります。
環境外交について申し上げます。
本年四月に開催されたG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合においては、二〇四〇年までに追加的なプラスチック汚染をゼロにする野心や、G7ネイチャーポジティブ経済アライアンスの立ち上げ、循環経済及び資源効率性の原則等が合意される等、多くの成果が得られました。私は、このレガシーを受け継ぐとともに、外務副大臣としての経験やこれまで培った人脈も生かしながら、今月末から開催される国連気候変動枠組み条約のCOP28や、プラスチック汚染に関する条約交渉等において主導的な役割を果たしてまいります。
(中略)
次に、環境省の原点である人の命と環境を守る基盤的な取組について申し上げます。
水俣病を始めとする公害健康被害対策や石綿健康被害者の救済、子供の健康に影響を与える環境要因を解明するエコチル調査に引き続き真摯に取り組みます。また、さきの通常国会で改正された気候変動適応法に基づく熱中症対策や、関係閣僚会議の下で政府が一体となって取り組む花粉症対策、河川や地下水から検出され、関係自治体や地元住民から不安の声が上がっている有機フッ素化合物、いわゆるPFAS対策を推進するほか、来年度から環境省に移管される水道の水質、衛生の管理に取り組むことで、国民の安全、安心を確保してまいります。加えて、ヒアリ等の外来種対策や鳥獣保護管理の着実な実施、希少種保全や動物愛護管理等にも取り組んでまいります。
以上、申し述べました、我が国が直面する数々の社会課題に対しては、課目ごとの個別対応ではなく、政府の多様な政策と環境政策の統合や、ネイチャーポジティブ、ネットゼロ、サーキュラーエコノミーという環境政策間の統合による統合的アプローチが有効です。この考え方の下、地球循環共生圏の構築やデコ活を通じて社会の枠組みやライフスタイルの変革を目指すとともに、今後の政府全体の環境政策に関するグランドデザインを示すものとなる新たな環境基本計画の策定に取り組みます。
原子力防災等について申し上げます。
万が一の原子力発電所の事故に対応するための備えに終わりや完璧はありません。東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓をしっかり胸に刻み、今後も安全神話にとらわれることなく、内閣府特命担当大臣として、関係自治体等と一体となり、各地域での防災訓練等を通じて地域防災計画、避難計画の継続的な充実強化等を図り、原子力災害対応の実効性向上に取り組んでまいります。
また、原子力規制委員会が、独立性の高い三条委員会として、科学的、技術的見地から公正中立な立場で規制を進められるよう、環境大臣として予算及び体制面でサポートします。
環境問題は、個人、地域、国、地球が同心円の問題であり、個人の行動変容の集積が地球全体の未来につながるものだと考えています。国民一人一人のよりよい暮らしの実現、地域の活性化、そして地球全体の未来を守ること、これらの同時達成に全力を挙げて取り組んでまいります。
以上、環境大臣及び原子力防災担当の内閣府特命大臣として、当面の取組の一端を申し上げました。
務台委員長を始め理事、委員各位におかれましては、今後とも、環境行政及び原子力防災の一層の推進のため、御支援、御協力をお願い申し上げます。