では、竹チップボイラーの運営側は何故竹チップ購入価格を現時点ではこれ以上上げることができないのか?
その疑問を解くために、把握している限り、我が国で唯一竹チップボイラーを運営している洲本市さんにお邪魔してまいりました。
現在、温泉施設の熱源として数多く採用されているのは重油ボイラーです。
しかも、目下のエネルギー価格の高騰で、重油購入価格もまた値上がりし、購入価格だけを比較すると、竹チップ購入価格の方が重油購入価格よりも遥かに安価とのこと…
これだけを伺えば、「だったら、竹チップに切り替える方が合理的なのでは?」と思ってしまうのですが、事態はそれほど単純ではありません(そして、このことが竹チップボイラーがこれまで普及してこなかった理由でもあるのですが…)。
実は竹には「カリウム」が多く含まれているため、竹を大型のボイラーで燃焼させると「クリンカ」と呼ばれる溶岩が発生し、焼却炉の耐火材などに張り付いてしまいます。そして、このクリンカを剥がす際に、耐火材が損傷し、焼却炉が破損してしまうのです。
ボイラーそのものを破損させないようにするため、人力によるこまめな炉内掃除が必要となります。
これが基本メンテナンス不要の重油ボイラーとの決定的な違いとなっており、この人件費が上乗せされる分、トータルの運用コストが重油ボイラーのそれを上回ってしまうというのです。
私はここに政府の、環境省の関わっていく要素があると思うのです。
つまり、クリンカを発生させる原因となるカリウムを減らす方法の確立とその社会実装、この調査研究と実証試験こそが環境省がこの分野で果たす役割だと思うのです。
ということを視察を通じて、随行省員とも意識を共有したところですが、何とか現実化し、全国で困っている放置竹林を宝の竹林に変えていきたいと思っています。