2025年06月
地域金融機関の覚悟と役割

愛媛県への公務出張の続きを…
大洲城といえば、1泊120万円でお殿様(お姫様)気分で天守閣に泊まれることで有名ですが、まちづくりに取り組んでいる方々にとってはそれは販売促進の一環に過ぎず、メインは空き家が急増する旧城下町において、空き家を高級宿泊施設にリノベして価値を再生させた上で賑わいを取り戻すというのが主戦場となっております。
話を伺っていると、地域まちづくり会社と行政、そして高級宿泊施設に通暁しているホテル運営会社との見事なまでの適切な役割分担(そして情熱!)が成功を導き出したことがよく分かるのですが、それに加えてもう1つ欠かすことのできないプレイヤーの存在を触れないわけにはいきません。
それは地域金融機関(この場合では伊予銀行)。
事業を起こすには初期投資が必要となります。
しかも、かなりまとまった投資額が…
私たちもその負担が少しでも軽減できるように財政支援を行っているのですが、それでも投資全体に足る規模にはなりません。
そこで、地域金融機関に資金融資を仰ぐのですが、誤解を恐れずに申し上げれば、「スタートアップ」とか「地域貢献」とか耳障りの良い言葉とは裏腹に、その審査は前時代的で、金融機関側が一切のリスクを取ろうとはせず、事業計画が(初期投資さえクリアできれば)現実的なものであったとしても担保がなければ融資をしないというのが悲しい哉実態であります。
しかしながら、伊予銀行は違いました。
審査は難航したものの、「地域の夢を実現するために役に立つのが我々地域金融機関の務めだ」との当時の頭取の大英断で、融資が実現できたのだとか…
いやぁ〜、全国の地域金融機関にも見習ってもらいたいものですな…
このテーマで一番の収穫となりました。
完全自動運転を体験する

先週月曜日、国土交通大臣政務官として愛媛県にお邪魔してまいりました。
観光、治水、交通、空き家対策、まちづくりといった政策分野で、苦労、活動、活躍されている現場を丸1日で拝見させていただくという超過密スケジュールでありましたが、本当に実りある公務出張となりました。
拙ブログでも、その一端をご紹介してまいりたいと思います。
まずは自動運転バスの実装状況から。
そもそも自動運転とはその技術レベルに応じてレベルゼロからレベル5まで定義設定されているのですが、今回お邪魔したのは我が国初の「レベル4(特定条件下における完全自動運転)」での運用を開始した伊予鉄バスさん。
シートベルト着用可能な乗車定員以内の乗客数であれば完全自動運転による運行が実施されております(保安要員や介助要員、万が一の対応として、現段階では、二種免許保有者が同情しております)。
実際に乗車してみて全く不安を覚えることのない完全にシステム化された運行を確認できたことはもちろんだったのですが(一往復しましたが、保安員さんは一度もハンドルやアクセル、ブレーキを操作することはありませんでした!)、驚くべきことは本当に普通の「伊予鉄バス」として当たり前のように極めて自然に運行されていたこと!
運行路線は、広島との間の定期フェリーの玄関口である松山観光港と、松山市の中心地である松山市駅へのアクセス鉄路である伊予鉄道高浜駅とを結ぶ実ニーズが現に存在している重要路線であり、実際に15分間隔で運行されているのです。
一方、路線延長は1キロ弱と短く、交通量や道路形態とともに自動運転しやすい路線を設定しており、データの蓄積には過不足ない見事な路線設定です。
ここは見事ですな。
弥彦村でも新たな挑戦が始まりますので、私もお手伝いを引き続き行っていきたいと思います。
野党提出「ガソリン減税法案」を紐解く(法制上の不備編)

昨日偶然にも福島のぶゆき代議士とお会いできたので直接、引用の御礼を申し上げることができました。
ある意味スッキリしたところで、予告どおり、そろそろ野党提出「ガソリン減税法案」に対する私見を…
まずは、法制上の不備というか、決定的欠陥から紐解いてみたいと思います。
まずはこの法案の施行期日(この法案が成立した場合の発動日。ガソリン暫定税率が廃止される日のこと)は7月1日となっております。
それと同時に、この法案では、政府に対し、少なくとも揮発油税法の改正を、できれば、揮発油税法に加え、地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律の改正を求めています。
しかも、施行期日の7月1日までに…
何故ならば、これらの法律の改正を行わなければ、発動する「ガソリン減税法」との法律上の整合性が取れなくなり、法治国家としては法体系の綻びという前代未聞の(厳格な中立、公正が求められる税法の世界では絶対にあってはならない)事態が生じてしまうからです。
しかし…
会期末を迎えた6月22日において、施行期日までの8日間でこの2本の改正法案を策定するのは、「100mを5秒で走れ!」というくらい絶望的に無理難題ですし、仮に宇宙人がやってきて超人的な能力で法案を仕上げたとしても、その法案を成立させることのできる唯一の立法府である国会は既に閉会してしまっています。
これらの矛盾を抱えているにも関わらず、提出した野党は、唯一矛盾を克服できる国会の延長さえ要求しませんでした。
これでは、そもそも成立を前提としていないから欠陥法案でもいいのだと無責任に開き直っているのか、甚だしく政権担当能力を欠いているのか、或いはその双方なのかと疑わざるを得ません。
そもそも、立法段階で、少なくとも揮発油税法の改正も組み込んで提出すれば良かっただけなのですが、それができなかったのは、ここからは邪推ですが、一昨日も指摘したとおり、そもそも無理なスケジュールで法案策定を急いだ結果、税法全体の整合性の整理まで間に合わず、必要不可欠な(でも緻密で複雑で地道ながらも完璧を求められる)改正部分を政府に丸投げしてしまったのでしょう。
或いは、施行期日を例えば来年1月1日とかに設定していれば、まだ現実味を帯びた法案になっていたのではと老婆心ながら感じてしまうのですが、いずれにしても法制上欠陥だらけの、支離滅裂な法案だと言わざるを得ません。
う〜ん、長くなってしまいました。
本当は、先ほど指摘した揮発油税法を巡る法制上の矛盾箇所を具体的に引用して解説しようかと思いましたが、後日に回したいと思います。
(ちなみに、「お前ら政権与党は対案も出さずに何を言うか!」と仰る方は昨日(6月23日)付の拙ブログをご笑覧くださいませ)
野党提出「ガソリン減税法案」を紐解く(他者の見解編)

さて、野党提出「ガソリン減税法案」の欠陥を紐解いていこうと思うのですが、自民党所属の衆議院議員である私がいきなり書き綴ると、その主観性から、読んでいただく皆さんに最初から色眼鏡で捉えられないだろうかと、いささか躊躇しております。
そこで、敢えて他会派の衆議院議員のブログから引用する形で、この野党提出「ガソリン減税法案」をどのように評価しているのかを紐解いてみたいと思います。
引用元は有志の会の福島のぶゆき代議士。政権与党会派ではない代議士でいらっしゃいます。
福島代議士は先の通常国会で国土交通委員会に所属しており、私ども国土交通省に対しても苦言を厭わず、厳しいご指摘をいただく畏れ多い方であります(直接お話しさせていただいたことがないため、質疑を通じての印象のみで申し訳ございません)。
それでは、福島代議士のブログを一部引用致します。
☆
「法律論的に言うと、単に「暫定税率を廃止する」という法案を出しても、施行日の7月1日から暫定税率はなくせるわけではない。税収が減る地方自治体への対応や、すでに成立している令和7年度予算への対応などは、この法案では別途政府が定める法律などに丸投げしているからだ。つまり、スローガンとしての「暫定税率廃止」を定めても、それに伴う実務的に必要な対応は政府が行わなければならないから、すぐに暫定税率など廃止はできないのだ。
実はこの経過措置の規定が、一番法律を作る時に難しかったりする。このような法律が成立してしまっては、行政は混乱するだけだ。それが分からないで法案を出しているなら、立憲民主党には政権担当能力はない。それがわかっていて法案を出しているなら、国民を欺くパフォーマンスだ。 本来、野党がまとまれば衆議院で法案は可決できるのだから、本気で可決するつもりなら可決しても行政が困らないような法案を提出する。昨年の衆院選の結果、そのような政治状況になったにもかかわらず、このようなはじめから可決することを前提としていない法案を提出するから、私は「野党しぐさ」と言っているのだ」
「私たちは、暫定税率の廃止の是非の議論以前の問題として、可決することを前提としていない、可決すれば行政が大混乱して対応不可能な法案に賛成することはないと思う。現時点でこの法案が審議入りする見込みは立っていない。提出者に加わった政党は、この法案が審議すらされなければ、当然に内閣不信任案を提出するのだろう。それをしないなら、やはり「永遠の野党」と言わざるを得ない」
☆
以上が引用部分です。
私は敢えてこの引用に評価を加えません。
明日から、2回に分けて、本法案の致命的欠陥を私なりに紐解いてみたいと思います(ちなみに、「お前ら政権与党は対案も出さずに何を言うか!」と仰る方は昨日(6月23日)付の拙ブログをご笑覧くださいませ)。