2022年12月
豪雪版災害対応確立論②
昨日の続きを…
昨日は非常時へのスイッチについて触れましたが、仮に非常時へのスイッチが作動した場合、各社会主体が当該災害時に何をしなければならないのか…
少なくとも、現状においては、各社会主体がそれぞれ精一杯活動しているものの、それらが有機的に結びついておらず、結果的に社会経済にとっての全体最適に繋がっておりません。
例えば、豪雪災害が進行中の段階にあっては、①除雪活動の最適化(場合によっては当該活動を優先するための通行止などの交通規制の実施)、②交通量抑制の最大化(各社会主体へのきめ細やかな不要不急の外出自粛要請(学校、保育園の休校措置などの強制的なものも含む)など)、③身動きが取れなくなった車両や停電世帯などの災害時要援護者の保護(公共施設の開放や食料品の提供など)、などをしなければなりませんが、これらを有機的に結び付けるプラットフォームがどこにも存在しません。
例えば、ゲリラ豪雨対応であれば当該プラットフォームの役割を果たす市町村ですが、平常時の地域防災会議、非常時の災害対策本部のいずれも、雪国所在市町村の多くは上記①に偏る傾向があり(災害対策本部が、ゲリラ豪雨の場合、総務部や行政課にある防災担当が切り盛りするのに対し、ゲリラ豪雪の場合は建設課に置かれるため、全庁的対応になりづらい)、その上記①であっても、高速道路と一般道路の整合的調整が上手くいっているとは言い難い状況にあります。
ゲリラ豪雨では、程度の差こそあれ、全体的には全ての市町村でこうしたプラットフォームが確立されているのに関わらずです。
このプラットフォームの構築なしに個別事象の精緻化を図っても全体最適に繋がらないのではないか、抜本的改善は見込まれず毎年同じ過ちを犯し続けることになるのではないか…
これが私が自民党災害対策特別委員会の席で主張した2点目です。
昨日、今日の2日にわたって綴った主張は奇策でも何でもなく、必要不可欠に取り組んでいかなければならない課題だと思っています。
これらが日の目を見て、雪国の日常生活や社会経済活動が少しでも改善されるように全力を尽くしてまいります!
豪雪版災害対応確立論①
今冬は雪シーズン本格到来早々、社会経済活動に甚大な影響を及ぼすほどの豪雪に見舞われました。
被害に遭われた皆様方に心よりお見舞い申し上げます。
先週木曜日には、自民党災害対策特別委員会が開催され、私も出席して2点ほど発言してまいりました。
拙ブログでは、わたしが主張した2点について補足情報を加えながら書き綴ってみたいと思います(なお、話の筋からは離れますが、豪雪による影響が現在進行形で深刻化しつつある中、私のSNSにも「こんな大変な時に国会議員は何をやっているんだ!こういう時に関係機関に直接介入しないでどうする!」とのご指摘を幾つかいただきましたが、これは「船頭多くして船山にのぼる」事象に加担する典型的行為で極めて危険です。私も災害対策本部長として陣頭指揮を執っていた時代、何人かの議員さんから対応中にアプローチがありましたが、いずれも黙殺するか、発言を許さず傍聴を許すかのみと致しました。非常事態進行中は現場指揮権を持たない議員は黙々と情報収集し、制度や運用の見直し段階で、まさにそれを本旨とする議員が活躍すべきだと私は考えておりますので、念のため…)。
近年の降雪状況は明らかに夏場のゲリラ豪雨と同じく「ゲリラ豪雪」化しています。
これが地球温暖化の影響であるかどうかはその結論が得られるまで今しばらく時間を要するかもしれませんが、いずれにしても、過去に比して、局所的に、異常なスピードで積雪量を増していく降雪スタイルになっていることは論を待ちません。
そして、この「局所的」「短期間」への変化が従来の雪国が許容し得た能力(消雪パイプや除雪車、融雪剤といった除雪インフラ)の限界を超えてしまい、経済社会活動に著しい影響を与えてしまっているという事実を私たちは受け入れなければなりません。
これはもはや「やや深刻な平常時の延長」ではなく、「非常時」であり「災害」です。
にも関わらず、私たちは未だに、この豪雪「災害」においては、「平常時」から「非常時」へと人々の気持ちを切り替える、社会経済の体制を切り替えるスイッチを制度的に持ち合わせておりません。
同じ「局所的」「短期間」のゲリラ豪雨が「高齢者等避難」「避難指示」「緊急安全確保」という法律や運用に裏打ちされたスイッチを持っているにも関わらずです。
確かに、豪雪第2波に先立っては、国土交通省と気象庁が「大雪に対する国土交通省緊急発表」を遅滞なく行い、この英断自体は高く評価しますが、これはある意味ゲリラ豪雨でも行われていることであり、地域住民や地場の企業からすると、心理的にやや遠い、ややもすれば「他人事」的な受け止めとなってしまいます(実際、「新潟県」と言われても、湯沢町では降らず、新潟市では降るなど、バラツキがどうしても生まれます)。
ここはやはり、ゲリラ豪雨と同様、市町村長(或いは都道府県知事)に、法的に裏打ちされた非常時への切替えスイッチの発令権限を付与すべきではないでしょうか。
そして、ゲリラ豪雨において、気象庁がレベル表示を行い、河川管理者が避難判断水位といった危機情報を発表して法的スイッチを有している市町村長を後押しするように、地域住民や地域社会、地域経済に、危機が迫っていることを伝達する仕組みを重層的多面的に構築すべきなのではないでしょうか。
これが主張した1点目であります。
ということで、2点目は次回に…
クリスマスイブイブ
やはり百聞は一見に如かずですな…
先日の政務官出張の記憶が薄れぬうちに…
福島県の土湯温泉で稼働している地熱バイナリー発電を視察してきたのですが、そこでの説明を伺って目から鱗でした。
私は温泉というものは温泉法の基準を満たす、湧き出た(或いは掘削して掘り当てた)お湯(或いは水)を利用するものばかりかと思っていたのですが、土湯温泉はさにあらず!
昔から、噴出した蒸気を川の水で冷却して液体化したお湯を温泉旅館に配分していているのが土湯温泉なのだそうです。
ですから、こちらの地熱バイナリー発電は元々あった仕組みに謂わば外付けする形で発電していることになります。
なるほど、だから東日本大震災後に地熱バイナリー発電をやろう!と決意されてからこれだけの短期間で既に稼働しているわけなのですね(通常は地熱発電の可能性を調査するところから始めるので、僅か数年で稼働というわけにはなかなかいきません…)。
でも、今更ながら驚嘆するのは先人達の知恵と覚悟…
蒸気を冷却して温泉にするという多大な投資をしてまで、土湯を温泉地にして地域活性化に取り組もうとされた先人達…
その開拓者精神が引き継がれ、日本では稀有な地熱バイナリー発電への挑戦、成功に繋がったのですね。
やはり、百聞は一見に如かずですな…