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先日拙ブログで宣言した「価格転嫁円滑化施策パッケージ」の私見を交えた解説の続きを…(先日言及した拙ブログはこちらから)

原材料費やエネルギーコストの上昇分、そして岸田政権が別の重点政策パッケージで推し進めることにより生じるであろう労務費の上昇分をどうやって実際に価格に転嫁させていくのか?(価格転嫁させる環境を整えていくのか?)

まさに、これこそが本施策の成否を決める鍵となります(これが成功すれば、マクロ的目標としての悲願でもある適度な物価上昇にも貢献することとなります)。

では、どうやって?

今回の施策パッケージについて、私はこれまでと異なる野心的挑戦であると評価し、期待を込めつつ、常に進捗状況を注視していくつもりなのですが、肯定的に強く評価する最大のポイントは、「お願い」ベースに終始せず、行政府の持ち得る権限を最大限活用する手法で施策パッケージを構成している点にあります。

この観点で施策パッケージを紐解いていきますと…

まずは本施策パッケージは、①価格転嫁円滑化スキームの創設、②独占禁止法の執行強化、③下請法の執行強化、④下請Gメンによるヒアリング等、⑤パートナーシップ構築宣言の拡大・実効性強化、により構成されているのですが、これだけを見ても「執行強化」など、これまで抑制的であった権限運用を積極的活用に大転換させていることがご理解いただけると思います。

その上で、個別に紐解いていきますと…

まずは「価格転嫁円滑化スキームの創設」ですが、表題の言葉の柔らかさとは裏腹に、相当程度踏み込んだ権限行使を視野に入れたものとなっております。

最大の特徴は、業種別の法遵守状況の点検を行う新たな仕組を創設した上で、毎年、法違反(価格転嫁を妨げる「買い叩き」など)が多く認められる業種を3つ選定し、当該業種の親事業者(取引で優越的地位にある事業者)全てに立入調査を実施する権限運用にまで踏み込んでいるということです。

これはかなりのインパクトを与えることが必至だと思います。

今までは、例えば、下請法に係る措置件数が年間8,000件程度に過ぎず、全国的に考えればかなり薄く、それぞれの当事者からみれば距離感のある(≒自分事にならずに済む)取組だったところが、ある分野に限定的とはいえ、津々浦々、隅々に至るまで、立入調査が実施され、価格転嫁がなされているのかどうかが第三者的にチェックされることとなるのですから。

敢えて大胆に例えれば、シートベルト着用義務が法制化され、全国的に抜き打ちで警察による取り締まりが行われた結果、(それだけが理由ではないものの、)シートベルトを着用することが一気に習慣化する、それくらいのインパクトを与えると思うんですよね。

と書いていたら、また文量が膨れ上がってきたため残余の紹介は後日に譲ることとしますが、今回の施策パッケージは、商慣習にどこまで公権力が関与するのかという観点からはかなり挑戦的取組であるが故に、産業界の中でも様々な意見が喚起されることになると思います。

それでも私は、価格転嫁することができず苦しんできた地元企業の皆さんの苦悩が解放されるだけでなく、マクロ的悲願をも達成できる可能性がかなり期待できる今回の野心的挑戦を歓迎したいし、高く評価したいと思います。

そして、今回の野心的挑戦の空気感が速やかに各市場に隈なく伝わり、最終的な権限行使に至る前に価格転嫁が実現することを望みたいと思います!