
本件については、拙ブログでオープンにすべきかどうか1週間以上迷いましたが、地元住民や県議、市議を前にして、「それは長岡市としての公式見解なのですか?」「その発言の解釈の間違いを国から指摘されても構わないのですか?」と2、3度確認させていただき、それでも構わないとその場で断言されたこと、そして立場は変われども行政、政治に身を置いている身として、極力地域住民の立場に立ちつつ仕事に向き合うのが我々いわゆる公務員の大前提であるにも関わらず、「公務員として、どっちを向いて仕事をしているのか⁉︎」との思いが1週間以上経っても払拭しきれないので、ここに書き記すこととしました。
従って、軽めの話題をお好みの方にはオススメしない内容となっておりますので、宜しくお願い申し上げます。
舞台は長岡市栃尾地域。
地元の皆さんから「一度現地を見てほしい」との要望を受け、伺ったのは河川法の適用(準用)を受けない水路。
水路と言っても、山肌を一直線に駆け下り、水が駆け下った先には現にお住まいになっている住居があるという流れ方となっており、過去の大雨でも何度か住家を鉄砲水が直撃しかねない、どころかその規模によっては命の確保にまで配慮しなければならないのではないかと思ってしまうほどの危険性を有する水路であります。
これは少なくとも危険性を除去する検討を速やかに始めなければならない…
改めて、地元県議や市議と相談の上、地元の皆さん、長岡市役所、新潟県庁の職員とともに、改めて現地視察をすることとしました。
もちろん事前に、必要な整理すべき事項(当該水路の所有者、管理者は誰なのかなど…)を確認した上で…
ところが…
現地視察を終え、地元住民を含む視察に加わった全ての方々を前に、自ら発言を申し出た長岡市某部長の言葉に思わず耳を疑いました。
当該部長曰く、「この水路は法定外公共物であり、その所有は国から引き継いだものの、管理は慣例的に地元である。従って、我々長岡市が関与するものではない」と…
この発言には二重の問題があります。
1つ目は事実関係として誤りがあることです。
部長が指摘するとおり、この水路は「法定外公共物(いわゆる青線)」に該当するのですが、この法定外公共物については、平成10年5月29日に閣議決定された地方分権推進計画において、「いわゆる法定外公共物のうち、里道、水路(溜池、湖沼を含む。以下同じ。)として、現に公共の用に供しているものの道路法、河川法等の公物管理法の適用若しくは準用のない公共物で、その地盤が国有財産となっているものについては、その財産を市町村(中略)に譲与し、機能管理、財産管理とも自治事務とするものとし、機能を喪失しているものについては、国において直接管理を行うものとする」とされ、所有権が市町村に移るだけでなく、管理が自治事務としての市町村事務に当たる旨整理がなされました。
この点については、平成12年12月26日付の大蔵省理財局長通達により行政化されているので、その解釈権はもちろん長岡市にあるのではなく、現在の財務省理財局にあり、既に担当部局に確認済です(ノーアクションレター制度を使っていただいても構いません)。
この通達発出後に長岡市が管理権について例えば地元集落への委託等を改めて条例等で整理されていれば、当該部長の弁明には解釈の余地が残るところですが、そのような条例等の整備がなされている形跡は見受けられません。
まして、危険性の除去に多額の事業費を要することが確定的である以上、(仮に農林水産部長の主張を黙認したとしても)通常の管理の範囲に止まらないことは明らかで、それでもなお所有者である長岡市が無関与であり続けることは「慣例的」にも許されるものではありません。
2つ目の問題は、これだけ長岡市民の生命財産に影響を与えかねない事象を目の当たりにしつつ、まさにその当事者である地元住民を前に「長岡市は関係ない」と言い放つ(少なくとも、聞き手がそのように受け取るしかない物言いで言い放つ)、その姿勢です。
数百万円では収まらないであろう改良事業をさしたる検討もすることなく無関与を決め込み、間接的表現ながらも地元住民の負担であるとその面前で言い切るだなんて…
部長殿、公務員たる者、それを言っちゃあお終いですよ(もちろん、現実には財政的制約がある中、様々なスキーム、或いは優先順位付けがなされることは理解できますが、それと無関与を決め込むのは全く違います)。
「一体、どっち向いて仕事をしているんだ⁉︎」
三条市長として数多くの市町村職員を見てまいりましたが、ここまでの人は今となっては超レア級ですよね…
いずれにしても、目前に地域住民の生命財産に影響を与えかねない本事案については、私は志を同じくする地元県議、市議の皆さんとともに、前に進めてまいります。
(実はこれ以外にも、今回の視察に際しては、社会インフラ整備事業における地方債の役割を根本から理解していない(国で言えば、建設国債と特例国債の基本的性格の違いといったレベルですね)部長とは別の補助職員の出現など、思わず絶句してしまう場面にも直面したのですが、ここではこれ以上申し上げません。ただ、失礼ながら、本当に大丈夫なのかと心底気を揉んでおります。組織全体に及んでいないことを祈るばかりです…)